2025.05.03 06:15新世界紀行 エジプトの旅31 同じ旅人“永遠には続かないけれど、確かに心を震わせる一瞬”ぼくの人生において、旅はそんな位置なのかもしれない。旅というものは、ぼくにとって、その時にしか創れない一つの作品だと思っている。構想を練るように計画を立て、筆を走らせるように日々を歩き、偶然の出会いや小さなトラブルが、まるで色彩のように作品を彩っていく。帰国し、静かな自室に戻ったとき、ようやくすべての絵の具が揃う。そして、ぼくはそれらを使って文章にする。言葉という額縁に収めることで、ぼくの旅は、ひとつの完成を迎える。エジプトの旅が、これほどスリリングで、楽しくて、そして少年時代の冒険心を蘇らせるものになるなんて、正直、出発前には想像もしていなかった。でも、旅というものは、常にこちらの予想を追い越してくる...