2018.04.21 15:42パリ組曲⑮ エッフェル塔の最寄りの地下鉄に乗って、ホテルのあるPlace de clichy駅へと帰る。夜9時を回る遅い時間であったが、電車内はおそらく観光客ばかりなのだろう、危険を感じるようなことはなく、おだやかな雰囲気だった。
2018.04.07 02:49パリ組曲⑫オルセー美術館の入館のための長蛇の列に並ぶこと1時間。 うっかり落とした手袋を背後にいた長身のアジア人青年が拾ってくれたことで、谷川とミヒャンはその青年と言葉を交わした。目の前に続く長蛇の列に、その彼も時間を持て余していたのかもしれない。青年の笑顔が日本的な柔らかさを備えていたので第一印象は日系人かと思ったが、出身は中国だった。聞けば、現在はドイツの大学へ留学中であり、そこからフランス、パリへと単身旅行中なのだとか。谷川が日本人だと伝えると彼はいくつかの日本語を口にした。日本に来たことはないが、日本のマンガを見て学んだと青年は話した。中国と聞くと、マナーが悪い、騒がしい、というイメージしか持っていなかった谷川は彼の知的な印象に好感を持つことが...
2018.04.05 11:06パリ組曲⑩朝食を済ませた2人は、ホテルを出て地下鉄place de clichy駅へと向かい、ルーブル美術館駅から散歩を兼ねてセーヌ側沿いを歩いてオルセー美術館へ向かうことにした。到着したばかりの昨夜にすでに地下鉄に乗って慣れていたおかげで、スムーズに移動することができた。 初めてこの目で見るルーブル美術館に2人は相変わらず歓喜の声をあげる。
2018.04.01 01:53パリ組曲⑨それは彼にとって、いつもの奇妙な朝だった。どこかへ出かけて宿泊するとよく経験すること。当然、起きた瞬間に見る天井が自分の家のそれではない。一瞬、いや数秒、ここはどこだ、とハッとしてしまうことがある。 その朝も、谷川は時差ボケや疲れなどまるでなかったかのようにいつも通りの6時半に目が覚めたがいいが、ここがパリのホテル「Bモンマルトル」、4階の48号室であることが分からず、上半身を飛び起こしてしまった。 オレは・・・、そうか、パリに来たんだ。 カーテンを開けてみる。 時計が狂っているのかと思うほど、外は真っ暗。1月のパリは日の出が朝8時半頃。それまでは暗いのだ。そうか、ここは確かにパリだ。そう思った次の瞬間には、昨夜のことが思い出され、...