新世界紀行 エジプトの旅⑧ 黄金のマスク

スフィンクス側ゲートを出て、タクシーを呼びやすい大通りまで向かう。
ケンタッキーを食べ損ねたため、仕方なく通りにある商店で何か買うことにした。


人ひとりがやっと通れるほどの通路。片側には飲み物が入った業務用冷蔵庫、一方には菓子や日用品が並ぶ。


値段が分からないがコーラと何かスナック菓子を買うことにした。にこやかな店主。おおよそこれくらいに値段だろう、ともらったお釣りから逆算して計算すると、ぼったくられてはいない様子。


大通りに出てUberを使い、一番安いタクシーを呼ぶ。
博物館まで600円ほどのようだ。


呼ぶのはこれで2度目になるが、呼ぶのも待っているのも緊張する。


一発でつかまるタクシーは少なく、メッセージで「ドル払いしてくれないか?」と送ってきて高額をふっかけてくるのが一定数いる。無知な観光客がそうしてしまうのかもしれない。


ようやく正規に呼べたタクシー。地図上でお互いの位置がわかる。


これまた、大通りなんぞで待っていると全く関係のないタクシーが停車して、手招きするもんだからわざわざアラブナンバーを翻訳して確認してから追い払う。
10分後、位置情報があう、やってきたタクシーのアラブ語ナンバーを翻訳して、自分が呼んだタクシーかどうかを必ず確認。


エジプトには今朝到着したばかりだというのに、もう随分こなれた自分がいることに気づく。


海外の1人旅の大きな緊張は初日で克服できることが多い。


到着した早朝、小雨と不安と緊張で風景をじっくり見れなかったが、今は時折日が差していて明るく、街の様子がよく分かる。


車窓を眺めていると、ピラミッドのあるギザ地区よりもやはり首都カイロへ向かうほどに近代的な建物が目立ち始めた。


大きな河川に突き当たる。


ナイル川だ。


これが、あのナイル川か・・・。


古来より氾濫を繰り返しながら周辺の土壌を良くしてきたというナイル川。


アスワンダム、アスワンハイダムができたことにより氾濫はなくなったが作物の育つ土地ではなくなってきたという。


まるで東京の荒川のように川沿いは整備され、建物が立ち並んでいた。


カイロ中心部、ナイル側沿いから程近い場所に「カイロ考古学博物館」がある。


無事、目の前にタクシーは停車し、一応日本人としての礼儀を足し「ありがとう」の一言をアラブ語で伝えてから降りた。


博物館への敷地内に入るために一度、手荷物検査場を通過する。
そこを出るとすぐチケット売り場。



外国人 1人450エジプトポンド 約2250円

支払いはクレジットカードのみ。(現金しか持ってない場合、近くの人に現金を渡してついでに自分の分も買ってもらう、という方法を取るらしい。)


 

ここにツタンカーメンの王墓から発見された遺物の展示室がある。
真っ先にも見たいところだけど、気分をもっと上げていくためにまずは博物館内をある程度見て回り、最後の最後にツタンカーメン展示室に行くことにした。

至宝の数々が所狭しと並び、圧倒され続ける。








2時間かけて館内を見て見て周り、最後に憧れ続けてきたツタンカーメンの財宝室へと向かう。



いよいよ、ご対面だ・・・。
嬉しさの興奮が爆発寸前だ。
カイロ博物館の薄暗い展示室に足を踏み入れると、そこには歴史の静寂が漂っていた。


ツタンカーメンの黄金のマスク――その存在を初めて目にした時、少年時代に抱いた冒険への憧れ、苦悩と再生を繰り返してきた若き日々、そして、ようやくたどり着いたここで感じる不思議な安堵感、それら過去の自分の全てがここにある、そして出会えたような気がする。



おおおおおおおおお!!!!!!!!
これがツタンカーメンの黄金のマスクか!!!!!!

対面した瞬間、ぼくはそれ以上の言葉が頭に浮かばなかった。ただひたすらにそう思い続けた。
これが・・・  ツタンカーメンの・・・・

ガラスケースの中で、何千年もの時を超えてきた顔が、まるで今にも語りかけてくるような気がした。


黄金に輝くその顔には、静かで穏やかな、しかし威厳が宿っていた。焦点のない、どこかを見つめ返しているその目には、時間も、歴史も、死さえも超えた永遠が映し出されているようだった。僕はその様に捕らえられ、全身に鳥肌が立った。


ひとつの目的が終わり、そして新たな旅が始まるのを感じた。これまでの人生の葛藤や涙や決断、覚悟のすべてが今、この地に導いてくれたのだと思うと、胸に熱いものが込み上げてきた。



黄金の光は、単なる金属の輝きではない。それは時間を超えてぼくらに語りかける、エジプトの悠久の歴史そのものだ。


黄金のマスクの瞳が、優しく、しかしどこか寂しげにその先を見つめている。その視線は、長い道のりを歩いてきたぼくの心を、静かに撫でるように包み込んでくれた。まるで「よくここまでたどり着いた」と言ってくれているようで、ぼくの中でこれまでの苦悩や迷いが消えていくのを感じた。


ぼくはただ、その場所で静かに立ち尽くし、エジプト文明の一端に耳を傾けた。時間も空間も超えた感動が、深く染み渡っていく。



今までテレビや写真などで何度となく高画質で見てはきたが、それらを遥かに超えていく感動が実物にはある。


何より、これを見るために、旅を決め、計画し、実行し、実際にやってきたというプロセスも大きな感動に一役買っていることは間違いない。


黄金のマスクに続いて黄金の棺があり、ガラスケースに入れられているものの、腐敗や損傷がほとんどないそれはあまりにも美しく、遺物というよりまさに一級の芸術品のようだった。


4000年以上も前、人間がこれらを創造し、そしてこれらを作り出した権力の凄まじさを感じずにはいられない。

写真撮影OKの一般展示されているツタンカーメンの玉座なども拝見し、ぼくは3時間ほどのカイロ博物館を後にすることにした。





おかやんの「とりあえず何でもひとりでやってみる」ブログ。

やりたい事は悩みながらなんでもやってみる。結果的に楽しんでる!また、何かに特化して書いているわけではありません。 書きたいことをごった混ぜにしてネタをブチ混んで書いていますhttps://www.instagram.com/the_unending_world/?hl=ja

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