ウズベキスタンの旅㊴ 終わり


バス停に到着。


数名の客が小雨をしのぐように屋根の下のベンチに座っていたが、目的のバスがやってくるたびに一人、また一人とバスに乗り込み去っていった。
私ひとりだけになり、理由もなく途方に暮れる。



すっかり首都タシケントのバスは乗りこなしていたが、なかなかバスがやってこないことには乗るにも乗れない。


時刻表などないのと同じなので、しばらく待ったあげく、別の路線のあるバス停まで歩くことにした。


空港行きバスは様々な路線がある。


大通りではあるが、新年の寒々とした街には活気はなく、歩いているのは犬の散歩か私くらいだった。


10分ほど大通りを歩き、交差点を超えた先に別のバス停があった。
空港行きの路線がある。



どれくらい待つかと運行表を確認していた矢先に、目的のバスがやってきたので乗り込む。
座席は半分以上は空いていて、後ろのほうの座席に腰を掛けた。
10キロのザックを背中からおろすと、同時に緊張感も一気にほどけていった。


もう、これに乗っていれば空港へ着く。


何も考えなくともあとは飛行機に乗れば韓国を経由して、日本だ。
ほっとした。


嬉しかったし、達成感が溢れ出た。


次のバス停で数人が降りていった。


バスが発車した、1分後、私の背後の座席でケータイが鳴っている。
が、誰もいない。



取り残されたスマホが、持ち主のいない座席で鳴っているのだ。
忘れ物だ。
私は手に取ったはいいが、ロシア語もウズベク語も話せない。
通路向かいには白髪まじりのおじいさんが座っていた。
目が合う。
おそらく私のジェスチャーとアイコンタクトが通じたのだろう、通話ボタンを押したあと、そのスマホをおじいさんに渡すと珍しそうに手にとって見て、それから初めてスマホを扱うかのようにぎこちない手付きで耳にあてた。


どうやら、持ち主らしく、まもなく終点の空港で落ち合うようだ。空港につくと、すぐに別のバスかタクシーかで追ってきた持ち主、若い女性がおじいさんのところへやってきて安堵の表情を見せる。私とおじいさんは再びアイコンタクトで解決したことをお互いに確認しあった。


そんなこんなで、私はタシケント国際空港に到着。まだ3時間も時間があったため、最後に記念自撮り。予定の飛行機のゲート前の待合所で待っていると、なにやら中国人の団体がいる。マナーとかモラルとか全くない感じがまさに中国人。大声で話しているから迷惑きわまりない。



もっと空いている待合所に移動して、時間を過ごす。
ゲート前集合のアナウンスが流れ、ザックを担いで向かってみると、ゲートに中国人が殺到している。



ゲートからバスにのって搭乗機に行く流れなのだが、我先にと押し寄せる中国人の様子はあまりにも滑稽で、バカバカしい光景で思わず笑ってしまった。



まるで大地震でもあり、一つの出口ににげまどう群衆のようだった。
これはやつらを避けたほうが賢明だなと早々と判断した私は、再び待合所に戻り、他の欧米人夫婦と共に時間を過ごした。



無事に飛行機が飛んだあとのことはよく覚えていない。
韓国映画を観たり、寝たりしていたのだろう。



韓国の空港では、余ったウォンを使い切るために空港内のコンビニでジュースを買った。
たかだか8日間だというのに、海外というやつは、日本を客観的に見せてくれる。


「帰国」という経験も何度となくしてきたが、そのたびに生まれ変わらせてくれた。


家に着くまでが旅だ。


私は帰路の電車、鈍行のグリーン車の静かな座席で、旅のテーマソングである藤井風くんの「grace」をただひたすらに聞いて8日間を反芻し、自身と向かい合いながら過ごした。



今まで読んでくださり、ありがとうございました。次は「香港冒険編」です。

最後の写真は、ウズベキスタン空港到着後の、素晴らしい旅の達成感に浸る中にて。


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