夜の、僅かな街灯と、時折やってくる車の明かりを頼りに水墨画のような淡い色味の世界を歩いていく。
視界の中で唯一のカラーはスマホ画面。
頼む、グーグルナビよ、合っていてくれ。
なかったらどうするかな。。。
入り口ドアが茶色の壁と同化している色のため分かりづらい。
取ってを回して押す。開かない。引く。開かない。
と、10m先の窓から光がもれている。中を覗いてみてると宿泊客らしき人がスマホをいじっていた。窓をコンコンし、カギを開けてくれとジェスチャーしてみる。
どこの国へ行ったときでも初日は気持ちが興奮していて些細なことに目がいかないことがある。
ドアが開いて中に入ると、茶色の外観からは想像できないほどおしゃれな光景があった。
壁には各国から訪れた宿泊者のメッセージで埋め尽くされていて、そこに描かれているイラストもポップで良い。
二階まで吹き抜けていて、天井が広く開放的だ。
「地球の歩き方」に書いてあったがどうやら宿は自国通貨ではないUSドルで受け取ると罰せられるらしい。おかげで、空港で両替して手に入れたスムがほとんどなくなってしまった。
「私の電話番号で登録するといいですよ」と言ってくれ、その場で設定してもらうも、やはりできない。
たまたま同じ時間にチェックインするウズベキスタン人3人の客と一緒にキッチンの場所や使って良いカップ、洗ったらここに戻す等、一通り説明を受けて、自分の部屋へ。
ただ、布団や枕は洗わずに使い回されている物のようなので、このために日本から消毒に特化したファブリースを持ってきた。
すると、宿からアジア人、その時は外見からして中国人と思った男性が出てきて同じようにタバコを吸い始めた。
「あ、日本人の方でしたか!」
⑦へつづく。
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