ウズベキスタンの旅⑤ 到着

韓国ソウルからウズベキスタンの首都、タシケントまでの飛行機内のことはもうよく覚えていない。


いろんなことを考えていたはず。


読書、映画、音楽、寝るを繰り返しながら、その合間でいろんなことを、脳裏のスクリーンに映し出して振り返っていたのだろう。


そして、さらにその合間に突然のタイミングでやってくる機内食。今、食えないなあ、という不満を言ってる場合でなはい。とにかくもったいないから食うのだ。


映画は確か、成田〜ソウル間で見た韓国映画の続きを見ていたと思う。
久しぶりに恋愛映画なぞ見たのだけど、これがとても良かった。


バイトをして生活する元ボクサーの貧しい男と、視力の弱いかわいい女性が突然出会う、というコテコテの設定ながら、その後はうまく人物背景が描かれていてすんなり入り込めた。数年に渡る設定で、女性がずっと男性のことを想っていた姿が美しかった。たぶん、半分以上は男目線の映画なのだと思う。


最後は悲しいながらも未来を感じる終わり方で、作品、そして映画としてとても好感を持つことができた。ヒロインの韓国人女優が美容整形していない目も綺麗だった。(今回の旅で、中国人、韓国人の方で、違和感のある、すぐわかる二重整形の方を多くみて、自然ではないなあ、と感じていた)


調べたら「ただ君だけ」という映画だった。どうやら韓国でも大ヒットし、日本でもリメイクもされたそうだ。


もう一度みたい映画ができてとても嬉しい。


ウズベキスタン首都、「タシケント」に到着。
ここからが勝負だ、と自分に言い聞かし鼓舞する。


「勝負」というのは、事前の準備がどれだけ通用し、活かすことができるか。
無事に初日の予定をこなすことができるか。


勝負なのだ。


預け荷物がないため、まずはターンテーブルをあっさり通過。


無意識に探してしまっているのかもしれないが、この便に日本人旅行者はいなかったようだ。もし日本人がいればマスクをしていても歩き方や姿勢、振る舞いで分かる。


もっとも、誰もマスクなんてしていないが。日本のクソみたいなマスク生活から開放されたその喜びも、旅の期待感を膨らませてくれた。


日本人が自分ひとりという、なんとなく心細いまま入国審査もあっさり通過し、いよいよウズベキスタンに入国した。


まずは現地通貨「スム」を手に入れなければ。


情報によると入国前と入国後のホールに両替所があるらしい。
入国前ホールにその窓口を発見したが、入国後のほうがレートが良いと踏む。


なんてことはない、宝くじ売り場のような小屋があり、入国審査ゲートの入国前側と入国後側にそれぞれ窓口があって、中にいる人も同じであり、当然レートも同じ。



10000円を両替すると70万スムのようだ。
レートは悪い。


昨今の円安の影響だろうか、思っていたより、だいぶ少ない。
この時は、思考が半ば興奮状態だったので冷静に対価を考える余裕がなかったが、あとになってこの両替額で換算すると、1000円が7万スム。100円が7000スム。
まずは単純に現地通貨から0を2つ取ればだいたい日本円と考えていたが甘かった。


初めての、しかも来た直後の異国の地はすべてが緊張と判断の連続。
次に現地シムカードを手に入れなければ。
情報では「ツーリスト・インフォメーションセンター」が到着ホールにあるとのことで、すぐに見つかった。
インフォメーションセンターとは名ばかりで、実際には「SIM屋」と化している。


汚いチラシを見るとシムにはいくつか種類があり、私には1週間8ギガで十分なのでそれを買うことにした。


値段が書いてないので、聞くと70000スム。0を単純に2つ取って日本円で考えると700円だが、空港両替レートだと1000円となる。ウズベキスタンでこの値段は高い気がしたが、この後タクシーアプリを使わないと宿へ行けないので買わない選択はない。


サービスだの接客だの、まったくそんな気配ない、やる気のない中年女性がシムを出し、これだと言わんばかりに放る。それを自分のiphoneにセットし、ネットにつながるか確認する。ここも緊張する数秒だ。もし接続不良でつながらなかった場合、タクシーアプリが使えないどころか、ネット環境のないまま旅をしていくことになってしまう。


「OK」


と私が言うと、その女性は「では支払いを」と言い、事後払いができるのは良かった。
そして次だ。シムの電話番号を確認し、タクシーアプリ「Yandex」に登録する。


が、電話番号を登録してもSMS認証メッセージが届かない。


日本で自分の番号でやった時もできなかったが、それは国が違うから、と勝手に納得していたが、やはりSMSが届いてくれない。


どうする?


空港前にたむろしている白タク(一般人が副業でマイカーを使ってやっているタクシー)は、ぼったくるので使う気はない。
だとすると第二案。宿まで45分、歩く。これが実は濃厚かもしれないと思っていただけに、私はあっさりそうすることにした。トレイルランニングで少なからず鍛えてきた体だ。それくらいはトレーニングの内だ。


「タクシー?」


何度も浴びせてくるその呼びかけを交わしながら、グーグルマップを頼りに空港前を歩いていく。時刻は夜20時。



空港前こそ明るいが、数十メートル歩いて敷地内を出ただけであたりは暗くなり、同時に無事に宿に着けるのかという僅かな緊張と不安がよぎる。
見た目は大通りで、白線なんてないが片側2車線はあろうかという広い道路。歩道を行く。



排気ガスと舞い上がる砂埃がヘッドライトで照らされ、霧のように夜闇に浮かび上がっていた。
誰か着いてきてやしないかと後ろを用心して振り返るが誰もいない。前も誰もいない。道は合っているのだから、とにかく進む。いや、合っていてほしい。



途中、道路沿いに商店がある。コンビニという風貌ではない。
子供の頃に近所にあった、まさに「商店」だ。


中は煌々と明るく、客もいるようだった。宿に付く前に飲み物だけは仕入れておきたいと思っていたので、立ち寄ってみることにした。
店内は日用品を中心に飲み物、お菓子、パンなど色々売っていた。値札があり、物価もよくわかる。


目についたおいしそうな「飲むヨーグルト イチゴ300ml」と「500ml缶コーラ」を手に取る。

レジにはおばあさんが座っている。


いうなれば、初めて接するウズベキスタンの第一村人だ。


日本であれば「お願いします」と声をかけるところだが、なんと言っていいかわからず無言で買うものを差し出す。おばあさんも私が外国人と分かったのか、無言でバーコードをピッとやる。


10万スム札しかもっていなかったので、とにかくそれを出す。


おつりは64000スムほどだった。


コーラと飲むヨーグルトで36000スム?


ウズベキスタンで?


あれ、高かったか?


レシートをもらえばよかったが、言い出せなかった。


商店を出て再び歩き出す。


見る建物がすべてトタン屋根とかレンガ作りだからだろうか、はたまた大通りなのにほとんど交通量がなく、薄暗いせいだろうか、視界がモノクロに感じられる。


ふと、また小さな商店があり、日本のコンビニのようなガラスの冷蔵庫が外にある。


コーラ500mlの値段、6000スム。


あれ?そんなに安いのか?



さっきの商店で買ったコーラは確か8000スムくらいだった・・・気がする。


値段を見て、「そんなに高くないな」と思って買ったはずだが、着いたばかりで思考がうまく働いていない。


かといって、おばあさんがボッたくったとも思えない。


逆算すると飲むヨーグルトは28000スム?280円? ウズベキスタンでもそんなに高いのか?


海外初日の、初めての買い物は金銭感覚は理解が追いつかない。あの商店は少し高めだったのかもしれない、と気持ちを切り返し、宿へと歩を進めた。


⑥へつづく。











おかやんの「とりあえず何でもひとりでやってみる」ブログ。

やりたい事は悩みながらなんでもやってみる。結果的に楽しんでる!また、何かに特化して書いているわけではありません。 書きたいことをごった混ぜにしてネタをブチ混んで書いていますhttps://www.instagram.com/the_unending_world/?hl=ja

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