この旅は、そもそも存在しないはずだった。
日本で・・・か。
10月末のトレラン大会を最後に徐々に、何か、行動する気力が失われていき、筋トレもせず、ランニングもせず、もちろん山にも行かず夜の一人の時間は未完成だったガンプラを作ったり、多くの読書、特に沢木耕太郎さんの「深夜特急」を再び読み返したりしていた。 でも、変わっていかない自分が嫌だった。進化を自分で止めてしまう自分が嫌だった。 きっと、進化し続けていきたいんだオレは。
ニュースでは、各国で入国規制の緩和が取り上げられていた。
条件によっては旅に行けなくもないのか。
そうだ、どこかへ行こう。
そう考えた時にはウズベキスタンがすでに頭にあった。
以前、NHKの番組で見て、「青の都」と呼ばれる都市サマルカンドを知った。
なんて美しい場所なんだろう。
「青」がその時の私を深く魅了し、また癒そうとしてくれた。
単純な言い方だが、旅先に「癒やし」を求めていた。
本当ならアジア最貧国と呼ばれる「バングラディシュ」に行き、その町並みやスラムを歩いてみたかった。
けれども、その時、行動する気力さえなかった私にとってようやく旅について考え始めたばかりで、その、バングラディシュの凄まじい喧騒に耐えられるとは思えないし、今求めているものはそれではなかった。
きっと「癒やし」を求めなければ旅へ行くことも、ウズベキスタンへ行くこともなかった。
それゆえに、私は本来出会うはずのなかった人々と出会うことになり、また、私と出会う人々にとっても本来、私と出会うことはないはずだった。
一人旅は「作品」。創りあげるものであり、自分でも予想できないものになっていく。
さて、私はどんな旅を創っていけるだろうか。
旅に行く期間は2022年末から2023年始の8日間前後と決めた。
初めての海外での年越しとなる。
例によって「地球の歩き方」を図書館で借りてきた。コロナ前の物なので3年以上前の情報だ。しかし、まずはそこから情報を探っていく。
なんとなくなく漠然とウズベキスタンの情報をあさってはいたが、本当に旅に行ってよいものか、あるいは行くべきなのか自分らしくなく迷い、悩み、結局航空券を買ったのは12月に入って10日頃だった。そのため、11月より高くなり、決断の遅さが金額差となって上乗せされることになる。
航空券を買うと、(日程が決まると)一気に計画を進める。
宿を予約し、次に現地での移動手段を考える。
日本のように、駅に行けばとりあえず何かしらに乗れる、ということはないようだ。
つまり、席が取れなければ移動ができない。
情報によると2年前はウズベキスタン国外からネットを通じてチケットは買えず、旅行代理店を通して買うという大変手間と金のかかるプロセスだったらしい。
あるブログによるとコロナ中に国外からも買えるようシステムが整ったらしく、私も試しにアクセスしてみたら買えそうなので、慌てて計画を練り、まずは首都タシケントから青の都「サマルカンド」までのチケットを買った。
1等から3等まであり、ラスト1席、しかも3等席である。もっともローカルが味わえるという意味では良いが、エアコンがない車両らしい。
毎晩、何時間も計画を考えに考え、調べに調べ、宿、それに鉄道チケットを購入。
8日間の計画がほぼ固まった。
乗り換えのため、韓国のソウルで一泊しなければならない。
②へつづく。
0コメント