ファイナルファンタジー5の世界観です。チョコボがいそうだ。
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朝、4時過ぎ。 周囲の話し声で目覚める。
早い人は、縦走するため出発しているようだった。
夜明けは5時前。空が明るくなってきたので、テントから顔を出すとちょうど隣りのKさん達も顔を出していた。
「そろそろですかね」
それを合図に、オレたちは準備をした。
Kさんの腕時計によると気温は7度くらい。
けれど、風があり体感温度はもっと低い。
稜線に立つと、さらに凍えるような寒さだったけれど、すでに多くの人々が日の出を今か今かと寒さでかじかむ手で抱えるカメラと共に待っていた。 そしてそれは始まった。
この世の始まりなのに、 この世の終わりかのような言葉にできない美しさを湛えていた。
世界の始まりを目にしているのに、オレたちはそれを世界の終わりをどうしようもなく虚無感に眺めているような、人間の力ではもはや何もできない無気力でそれを見つめ続けた。
もし、太陽の寿命が来て爆発を迎え、地球の最期が来たならばオレはそれを美しいと思うことにしよう。 きっと、空一面が赤く染まり、フレアに襲われる時は、オレはそれを絶景と呼ぼう。
そんな風に思える美しさだった。
山荘でも多くの登山客が、それを見続けていた。
テント内からも朝焼けが見えます。
さて、朝飯です。粉末コーヒーをいれます。
オレは、アルファ米と呼ばれるお湯でできるチキンライスを食べる。
Kさん達は、なんとコーヒーを豆で持ってきていて、それを挽いて飲むのだという。
オレも一杯頂いてしまった。
さて、テント撤収です。
山荘にテント手形を返し、記念にTシャツを買って帰ります。
昨日の天気が嘘のように快晴となり、至る所から登山者たちの歓声が上がっていました。
燕岳をバックに。
槍ヶ岳をバックに。
山づたいに槍ヶ岳やさらにその先まで行けるのです。
下山します!!! 8:00
Kさん。
ラピュタから離れる気分です。
下山時、もう80歳くらいの単独のおばあさんとすれ違った。
小さな体を動かして、小さな足を動かして、一歩一歩、急登と呼ばれる登山道を上がっていった。
旦那さんは、、、、と思うともしかしたら、もうご健在ではないのかもしれない。
無事に登頂してね、とオレは心の中でおばあさんの登山を祈った。
オレはいつまで登山ができるかな。
もしいつか、オレの大切な人が亡くなった時、 その時は山小屋泊へ行って、癒されて、ひそかに涙を流して、そして笑顔で下山できればいいな。
10:30 登山口へ到着。
Kさん達とは、停めた駐車場がたまたま一緒で、しかも目の前に停めてあった。
そもそも、初日の出発時に駐車場を撮った写真に映っていた。↓
Kさんはこの後、友人と共に名古屋空港へ向かうという。
友人は、大分まで飛行機で行き、さらに車で1時間だという。長旅だ。
オレは話しながら、
「家に帰るまでが登山ですからね〜」
と付け足しておいた。
オレの悪いところで、登山で出会いがあり、ものすごくその縁に感謝するのだけれど、
下山してお別れする時は、さみしい気持ちになってしまう。
「また会いましょう!」
旅先での出会いは、次に本当に会えるかどうかは分からない。
でもいいんだ、思いは言葉に出しておけば、オレは必ず実行するタイプだから。
〜 おわり 〜
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