登山道を見失った後に死に物狂いで探して戻れると、人はどれくらいホッとするのかを検証する登山。前編。新潟巻機山編。

登山口「桜坂駐車場」出発 5:25

分岐を割引沢方面へ 〜 道なき道を行く。

一般登山道「尾根コース」の六合目になんとか出る。8:25

九合目 9:55

避難小屋 10:05

山頂 10:25

牛ヶ岳 11:10 〜 昼食

尾根コース 登山口帰着 14:50


トータル 9時間30分 





タイトルは正確には、



「大した装備もなく、落ちたら死ぬ雪渓、岩場登山道にて行き先を見失った後、死に物狂いで岩につかまり、崖を這い上がって一般登山道へ戻れると、人はどれくらいホッとするのかを検証する新潟巻機山登山」前編。


のスタートです。


まきはたやま、と読みます。


タイトルにある通り、今回の登山は今までで最も過酷で危険なものとなった。



理由は以下の5つ。

① 出発当日朝に急遽決めた山であったため、下調べ、登山計画が不十分だった。

② 出だしから立ち入り禁止、警告看板を無視して登山道に入ったことでその登山道を見失う。引き返せず、かといって前にも無闇に進めず、コンパス頼りに崖や壁のような斜面を泥まみれで草木を掴んでよじ登る。結果、2時間のロス。

③ 上の②によるモチベーションの低下と焦り、体力消耗による飲み水の想定外の大量消費。

④ 山頂は曇り。期待したような景色がなく気持ちも下がる。

⑤ 下山途中、休憩した場所にサングラスを置き忘れ、再びきつい斜面を登って取りに戻ることでさらに体力、水消耗。その後、完全に水を失う。 


  

素直に反省をし、これを勉強として活かしたい。

そういう意味では、今後の危険回避の登山レベルはさらにアップした。









では、その一部始終を見てみましょう。








金曜の夜、仕事から戻り、夕飯、風呂、身支度を済ませる。のんびりしてしまったら出発は9時半頃になってしまった。


今回、一緒に登るKさんとは現地集合の約束。


関越自動車道に向かう。一週間の疲れがあり、金曜夜の長距離ドライブはちょっとしんどい。


高速は、90キロほどの低速で走る。状況を考えれば、一番気を使わない速度だ。


目的の、塩沢石打(しおざわ いしうち)インターにて下りる。


グーグルナビを、巻機山(まきはたやま)の登山口である「桜坂駐車場」にセット。





さて・・・・

 

 

 

 

 

 



ここからだ。




越後駒ヶ岳に夜中に行ったときもそうだが、夜の知らない土地の、しかも山へと続く道というのは本当に怖い。


インターを降りて、コンビニでもあればちょっくら寄ろうとでも考えていたけれど、


 

 

 





ない。


 

 

 




田んぼしかない。





オーケー オーケー  想定内だよ・・・・




 

 

ほどなく山へ入る。






短かろうが、トンネルはこわい。





来た来た、もうすぐだ。





バスで来る登山者の、バス停。



対向車が来たらすれ違えない道を15分も登る。





着いた。。。 桜坂駐車場。白い建物はトイレ(水洗)。




この先、一番奥の駐車場に停めて、車中泊。

ヘッドライトを消すと、数メートル先さえ見えない暗闇と化し、恐怖。。。


ドアを開けると、







 

 

 

 



ザー!!!!!!









という音が山から聞こえ、巨大な何かが襲いかかって来るようで、すぐにドアを閉める。

滝があるのだろうけど、何も見えないので本当に怖い。


越後駒ヶ岳の時は、静寂に包まれていたのでむしろそれで癒やされた記憶がある。


すぐに後部座席に移り、寝る。時刻は11時40分。

 

 

 



早朝。

Kさんに、5時に登り始める、と言われていたので4時半に起床。


Kさんの車を確認。朝4時半ですでにこんなに明るい。少し周囲を観に行ってみることにした。




昨夜の凄まじい音の正体はこの滝だった。



入り口はこうなっていた。第4駐車場。



森林組合が管理していて料金500円を取られる模様。



半日の定義が不明。時間であれば12時間だが、そうゆう理屈は通じないんだろうな。



Kさんと合流。準備をしていると、続々と車がやってきて、他の登山者も準備を始める。

人気があるのはやはりここが「日本百名山」だからだ。



出発口。登山コースの看板がある。いつもオレはこれを見て登る。



 

 


この写真の右奥の看板には、「割引沢・ヌクビ沢コース」は崩落しているため「入山禁止」の記載がある。



この時点までは、調べておいた一般コースの「井戸尾根コース」を行く気でいた。







しかし







その考えはオレだけだった・・・・。



 

 

 



 

 

 

 





 

  

 




一般の「井戸尾根コース」。





登山口のあるこの看板。

これが、本日の、

人生の分岐点。





左方向にはこのような看板がある。

手前の看板には、「入山禁止」とはっきり記載もあった。


しかし、今回一緒に行くKさん、ピストンコース、いわゆる往復が同じコースはつまらないと言う。

周回コースのほうが違う景色が見れていい。

それは確かにそうだ。オレもそう思う。そういう登山を好んできた。


しかあし、それは夏山や低山、好天にしか通じない気がする。



Kさんが言う。

「割引沢コース行こうよ。割引岳にも行きたいし」


 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 



「・・・・、え。。。。入山禁止で警告もありますけど。


大丈夫っすか???」

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「大丈夫だよ。行政はすぐそういうの言うから」

 

 


分からないわけではなかった。確かに行政とはそんなもんだ。


 

 


しかし、その時点で、ざわざわするような行きたくない感があった。やはり何かまずい予感がしていた。

入山禁止という絶対的理由に加え、

① 自分自身で下調べをしていないコースのため状況が分からない。

② 登山者が多いのにそのコースへは誰も行っていない。

③ いつもオレが行く山は人がいないので、今回は他の大勢の登山者と一緒に登るのを楽しみにしていた。


それらを総合して、オレなら行かない。


 東南アジアのひとりバックパッカー旅もそうだが、全て自己責任。安全に帰国するには、自分の判断力、そしてその判断した行動にかかっている。

 

そして適切な判断をするためには、現地の文化や地域性、国民性、危険な場所、とっては行けない行動などの知識を頭にいれておかねばならない。たぶん大丈夫とか、勝手なイメージほどあてにならないものはない。

 


 ブログでは簡単に書くけれど、相当考えて行動している。あからさまに危険だと分かることは絶対しない。

 当然運もあるが、今まで危ない目に合ったことはないし、盗難にあったこともない。


 大学生が、海外で何かそういったことに出くわしてしまうのは甘い「状況判断力」が関係しているのではないかと思う。





が、



今回は、そんなものは


全て無視


して、Kさんとの協調性を優先いたしました。

 


入山警告、禁止コースへ・・・・。




さらに言えば、ある老夫婦もそちらへ迷わず向かった、ということで「あ、大丈夫なのかも」という安心感が働いてしまった。今から思えば、彼らも大失敗ということになる。




入山禁止コース。






悪夢が始まる。

ざわざわして落ち着かない。こっちへ行ってはダメだと胸の声がする。



整備されていないのか、誰も通っていないのか、草も伸び放題で道も分かりづらい。


第一分岐。そもそも折れて倒れている。。。

 

 



スタート10分で、登山道が曖昧になる。





沢の岩を渡っていく。

 

 




しばらくこんな沢の岩を行く。



雪解け水のため、流れもすごい。

 

 

 

 




足元は泥で不安定。滑落したら滝壺へ落ちてしまう。



 

もし落ちてしまえば、





道幅は1メートルもない。

 

 









この残雪、雪渓を見た時に、不安が確信へと変わってしまう。


行けるか、行けないか、じゃなくて危険だということ。このコース無理だろう。そういう装備はしてきていない。





オレはまだ伝説の「ロトのアイゼン」を持っていない。浅間山では必要なかった。


アイゼン↓。



厳冬期は全てが凍り、積雪は最低でも5メートル以上だと分かる。


ここまで来るのに足場の悪さでKさんは何度か滑り、数メートル下の「奈落」へ落ちそうになったのを見た。

落ちれば生涯奴隷だ。


それを見てオレは当然なにもできない。自分が落ちないように歩くのが精一杯で、Kさんが落ちてしまったらどうしたらいいのかも頭に浮かんでこない。不安が募る。




残雪の斜面にぶつかり、ついに道が絶たれてしまった。


戻りたかった。。。

 

 

 



なんなら、初めての彼女ができた高1の冬に戻りたかった・・・。


 


 

 


が、KさんがGPS、コンパスと地図で方向を確認する。


雪を避けて行くために、登山道から外れて左の急斜面を登ることに。



この斜面、ウソだろう・・・。


足元は泥のような不安定な地面。

草や木の枝につかまり、草や木の枝をかき分け、登る。 つかまった枝が折れれば落ちる。


Kさんが登っていく。



オレも後につづく。



 

 

 


落ちたらやばい、落ちたらやばい・・・。



必至で頑丈そうな枝につかまる。



一体オレは何をしに来たのか。くそ〜。



それでも数メートルは壁のような斜面を登ったか。姿が見えなくなったKさんが上の方から、


「ダメだ、行けない。下りたほうがいい」


と叫んだ。


 行けなくてホッとした。


 下りることになったが、今も草木につかまってなんとか体を保っている状態。

 下りようにもどこをどう登ってきたのか、そして下りていいか分からない。


 登りより下りのほうが危険。 またしても落ちたらそのまま10メートル以上、下の「奈落」まで転げ落ちていくことになる。





とにかく太い枝につかまり、次に足を置く場所を見定める。

斜面に四つん這い。


滑ったら落ちる場所を、死にものぐるいで下りる。





下りきったところでKさんが待っていた。

GPSで現在地を確認。



「この雪渓を登ろう。行けるだろ。」



またしても一度滑ったら、止まらずにどこまでも落ちていくコースを行く。



オレたちは前に進むしかなかった。

背後、100メートルほど下に、共にこちらのコースへ来てしまった老夫婦の姿があった。

逃げろ、ここから早く逃げるんだ。あんたらが落ちても助けられねえぞ・・・・。

つづく。


おかやんの「とりあえず何でもひとりでやってみる」ブログ。

やりたい事は悩みながらなんでもやってみる。結果的に楽しんでる!また、何かに特化して書いているわけではありません。 書きたいことをごった混ぜにしてネタをブチ混んで書いていますhttps://www.instagram.com/the_unending_world/?hl=ja

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