聖ポール天主堂の階段下にある石のベンチで、休息を兼ねて座り、少しの間柿ピーをつまむことにした。
これは一泊すべきだった。かといって、その日程は厳しかったようにも思う。
仮に今夜、マカオで泊まると早朝にタクシーでも拾ってイミグレーションまで行き、バスに乗って香港へ入り、空港へ向かうことになる。知らない土地でその移動は時間的にもリスクが大きすぎる。どこかで何かしらのトラブルがあれば帰国便に間に合わなくなってしまう。香港へのバスも50分はかかり、しかも事前に運行時間は調べてはきているものの、その通り運行するとは限らない。
時刻はすでに17:00。
幾分、早足で歩く。
まずはイミグレーション行きのシャトルバスがあるフェリーターミナルへ行かねばならない。またホテルサンズから無料シャトルバスでフェリーターミナルへ行こうと地図を見ていたが、どうやら少し遠回りになる。それなら、全て歩こう。グーグルを頼りに歩いていたが、どうも「地球の歩き方」の地図とグーグルマップの現在地を照らし合わせてもいまいち現在地が掴めない。
ぼくは、駆けて行き勇気を出して「エクスキューズミー」と口から放った。地図を見せ、「フェリーポートへ歩いて行きたいんですが、どうやったら行けますか?」と聞いた。警官は一瞬驚いた様子を見せた。ぼくが外国人だということ、それに自身が交通警備中だったからかもしれない。そしてもうひとつ理由があった。
「それなら、この先の道を道なりに行ってください。そうすると歩行者専用のトンネルがあります。それで丘を抜けられます。」
警官は紙の地図を見ておおよその現在地を教えてくれた。もちろんその地図にそんなトンネルは載っていない。
「この先」と言われも道がくねっていて先がよく見えない。ぼくは半信半疑だったが、行くしかない。礼を行って、先を急ぐ。すると、確かに歩行者用のトンネルがあり、人々が行き交っている。
助かった!!
フェリーターミナルになんとか徒歩で来れた時にようやく少しほっとし、バスから降り立った場所を発見した時は心底安堵した。当然ながら行きと帰りでは景色が違うため、本当にこの場所で合っているのか思い出した時はようやく帰れる、と胸を撫で下ろした。この時間に香港へのイミグレーションに向かう人は少ないようで、シャトルバスには数人のみ。ぼくが乗り込んで程なく出発した。
まだまだマカオの街を歩いてみたかった。
不安なことを考えたってしょうがない。ここ、マカオのように例え短時間でも自分が過ごした場所を離れる時、強烈に振り返る思考が発生する。
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