ウズベキスタンの旅㉛ 寂しさは置いていく


ブハラの観光地街の中心部の池「ラビハウズ」まで戻ってきた私は、ATMにて今夜と明日一日分の現金を引き出した。食事され摂れればいいので3000円くらいのみだったろうか。


今夜、ブハラを経つ。


最後に遺跡群をもう一度のんびりと巡る。


わずか一泊であるのに、レストランに入って食事をしたり、商店で飲み物を買ったり、街を散策したり、少し地元の人と関わったりするだけで、ずいぶん自由を手にすることができる。それが一人旅の醍醐味なのだろう。


夕方5時過ぎ、まだ時間は早かったが昼飯も食っていないため早めの夕飯にすることにした。


昨夜と同じレストランに行くとすでに開店してくれていた。

昨夜と同じおじさん店員、そして同じ料理を注文する。

今日は一人で来ていることに一抹の寂しさと、また、冒険をしているという、同じ量のワクワクがある。

加えて、これがブハラでの最後の食事でもあり、もう二度と来ないかもしれないという刹那も入り混じり、なんとも説明し難い感情を胸に灯しながら窓の外のアルク城や観光客らを見ていた。

ブハラにてわずか一泊の間に、奇跡的にも日本人の方二名とカフェや食事を共にすることができた。


そのお二人も、私よりも滞在時間は少なくあっという間にブハラを去っていってしまった。


一人旅では、そういった時に自分だけ取り残されたような気分になり、胸を掴まれたような、片思いの失恋にも似ているような、仕方ないことだと自分を納得させることのできる寂しさではあるが、どうしても消えない感情がある。


旅の終わりが近づいているためもあるかもしれない。
食べ終わり、再び観光地通りを通ってそういった感情を整理するように私はわざとのんびり歩いて宿に戻ることにした。


街も暗くなり始めた頃だった。ちょうど街の中心部の池、ラビハウズが見えてきたあたりで女性の、叫ぶような日本語が聞こえた。


「あ、日本人だ。」


驚いて立ち止まると髪の長い女性が走り寄ってきて、これまた唐突に私に言う。


「もう絶対日本人だと思ったんですよね。歩き方とか。」


私も海外では日本人を即発見できるが、自分がこうして即発見されて声をかけられるのは初めてだった。


驚くことは他にもたくさんあった。


この女性、見た目はギャル。そして一人旅。しかもウズベキスタンなどという海外旅行としてはマイナーな国にいる。片手には自撮り棒とスマホ。


「YouTubeやってるんで。」


旅ユーチューバーらしい。



お互い日本からどこを経由してここまで来たか、明日はどこへ行くか、インスタなど簡単に情報交換をした。


私は数時間後にはブハラ駅に行かなければならなかったが彼女はその日はもう暇とのことで、私が宿をチェックアウトして荷物をまとめた後に、近くのレストランで待ち合わせることになった。


彼女は早朝にブハラに着いたばかりらしい。今度は私のほうが先にブハラを経つ番になる。


寂しさはここ、ブハラに置いていけるようだ。


おかやんの「とりあえず何でもひとりでやってみる」ブログ。

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