ウズベキスタンの旅㉔ ブハラへの鉄道


比較的安全と言われる、タクシーアプリで呼ぶタクシー。それで乗ったとはいえここはウズベキスタンだ、何か起こるかもしれないし、無事に駅に着くまではやはり多少の緊張もあってソワソワする。


比較的安全と言われる、タクシーアプリで呼ぶタクシー。それで乗ったとはいえここはウズベキスタンだ、何か起こるかもしれないし、無事に駅に着くまではやはり多少の緊張もあってソワソワする。


グーグルマップで現在地を確認できるからいいものの、スマホがない頃の旅は様々なことに時間がかかり、危険が伴ったのだろう。


タクシーに乗っていた時間は僅か15分ほどだったろうか。


無事にサマルカンド駅へ到着し、乗る前にアプリに表示されていた金額をドライバーに渡す。これも日本円にして僅か150円ほど。



世界的物価高騰で、日本円も今までにないくらい安くなってしまい、世界的に価値が落ちまくっているが、ウズベキスタンの物価には助かる。



タクシーから降りてドライバーに手を上げて改めて「ありがとう」を伝えると、彼がほんのりとした笑顔で手を上げてくれた。正面から顔を見たのはこれが最初で最後。背後から見ているよりもずっと若かった。僅か15分の乗車。長い人生における、彼と人生を交差させるたった15分でさえ、もう二度とやってはこないこの15分が愛おしく感じられた。



私は彼の車が視界から見えなくなるまでそこで待った。私のことはただの一人の客だろうが、私にとっては些細なことでもこうして記憶に残る旅の1ページなのだ。


さて、無事にサマルカンド駅に戻ってきた。


比較的安全と言われる、タクシーアプリで呼ぶタクシー。それで乗ったとはいえここはウズベキスタンだ、何か起こるかもしれないし、無事に駅に着くまではやはり多少の緊張もあってソワソワする。


グーグルマップで現在地を確認できるからいいものの、スマホがない頃の旅は様々なことに時間がかかり、危険が伴ったのだろう。


タクシーに乗っていた時間は僅か15分ほどだったろうか。


無事にサマルカンド駅へ到着し、乗る前にアプリに表示されていた金額をドライバーに渡す。これも日本円にして僅か150円ほど。



世界的物価高騰で、日本円も今までにないくらい安くなってしまい、世界的に価値が落ちまくっているが、ウズベキスタンの物価には助かる。



タクシーから降りてドライバーに手を上げて改めて「ありがとう」を伝えると、彼がほんのりとした笑顔で手を上げてくれた。正面から顔を見たのはこれが最初で最後。背後から見ているよりもずっと若かった。僅か15分の乗車。長い人生における、彼と人生を交差させるたった15分でさえ、もう二度とやってはこないこの15分が愛おしく感じられた。



私は彼の車が視界から見えなくなるまでそこで待った。私のことはただの一人の客だろうが、私にとっては些細なことでもこうして記憶に残る旅の1ページなのだ。


さて、無事にサマルカンド駅に戻ってきた。

ここへやってきたのは二日前の夜20時頃だったろうか。
ずいぶん長い時間が経過していたような気がする。それくらい旅が濃い時間だったのだろう。


やってきた時は夜であり、12月30日でイベントもやっていたため、正月を迎えた昼間の今とはずいぶん印象が異なることもその要因のような気がした。
すこしは駅前も散策してみたくなったが、なにせゆっくりしている時間がない。
荷物検査を兼ねた改札小屋で乗車券を見せて通過。
駅構内はまだ乗客の姿はちらほらだった。




観光都市ということもあり、売店にはお土産も売っていた。ただ、日本のようにキーホルダーなどではなく、がっつり民芸品。サマルカンドブルーであしらわれたお皿や人形、工芸品など。


売店でコーラを買い、プラットフォームを確認。しばしベンチでのんびりすることにした。



時間が近づいてきた頃、ホームへ移動。乗車が始まっている。


  


首都タシケントからサマルカンドの電車移動は、昼間なのに3等席の「寝台列車」でやってきたが、今回は少し良い席が買えたので楽しみだった。

ボックス席ならぬ、「テーブル席」。




リクライニングもするソファタイプの席で通路も広く、窓も広い。
隣は同い年くらいの女性、前は50代くらいのおばさん二人。
すでに席についてのんびりしていたのでさらに前の駅から来ているのだろう。


定刻に出発した。


ほどなく車掌が乗車券チェックとお茶を持ってやってきた。
ウズベキスタンでは鉄道内でお茶が必ず配られるようだ。


シルクロード時代の面影を残すという都市ブハラまでは約3時間。


異国の車窓をのんびりと眺める。
移動以外はのんびりする時間など持たない旅スタイルの私にとってはあまりにも優雅な鉄道旅となった。




最初の1時間くらいはウトウトしたり、本を読んだり、音楽を聴いて過ごしていたが、景色が荒野となり、どうやら地平線が見えているようなので、車両連結部分のデッキへ移動してみることにした。

どこまでも平坦に続く砂地の荒野。

時折、はるか遠くに何か家畜の黒い群れが見え、あるいは何かの小屋のような建物が視界に入ってはすぐに遠のいていく。

日本にはない風景であるし、私自身、初めて目にする景色であった。
はるか昔はここをラクダを引き連れたキャラバン隊が行き交っていたのだろうか。


変わらない景色であるのに、ずっと見ていても飽きることがない。
この先、どんな場所があるのだろう。そんな好奇心が胸の奥で熱くなっているのが分かった。


グーグルマップを開く。


確かに線路上をブハラ方面へと進んでいる。画面を地球規模にし、日本との位置関係を見る。
誰一人、自分を知る人のいない土地へ来ていることに果てしない自由を感じる。
あってはならないが、これでパスポートもなければ自分という存在が自分の記憶という曖昧で不確かなものでしか証明できないことになる。


私は不可思議な想像を楽しみ、しばし、そのまま荒野の景色に溶けて入ってしまいそうな浮遊感の中にいた。


再び席へ戻り、「地球の歩き方」を開く。


さて、ブハラ駅に到着したら市街地へ向かう乗り合いバスを探さねばならない。


市街地まで15キロもあるらしい。タクシーでも日本円で200円ほどで行けるようだが、バックパッカーとしてはバスという手段があるのならなんとしてもバスに乗りたい。バスなら10分の1の金額で20円ほどだ。


情報によると駅前に市街地行きの378番のバスが停車するという。


しかし。


どのあたりが駅前で、どこがバス停なのか、そもそも本当に378番のバスなのか、そんなことは着いてみなければ分からない。


海外を旅をしていて、思考力、判断力、行動力、事前情報収集力、コミュニケーション能力を私が最も発動する機会が空港に着陸した後やこうして鉄道で目的の駅に着いた後の行動だ。


「着いてみないと実際は分からない」ことが多く、臨機応変な判断が必要であり、緊張を強いられる。


よって、そこで同じ日本人がいるとお互いに助け合う互助効果が生まれ、仲良くなることも多い。


しかし!



こんなところに日本人はいない。
そして英語も通じない。


しかし!!


私にはドラえもんの道具「ポケトーク」アプリがある。



ウズベク語、ロシア語でも会話ができるのだ。

私が「地球の歩き方」に穴が開くほど読み込んでいると、隣の女性が話しかけてきた。


英語でWhereが聞こえたのできっと「どこへ行くの」と聞いているのだと察した。


「ブハラ駅で降りて、街までバスで行きたいのですが、バスがどこにあるのか、何番のバスなのか分からくて」


と、私もつたない英語で伝えたつもりだったが、キョトンとしていて通じていない様子だったので私はすぐにポケトークアプリを起動して、日本語からウズベク語に音声変換してみた。


すると、どうやら通じている様子だ。


「タクシーで行ける」

と言う彼女。そりゃもっともだ。


「バスで行きたいんです。」


と私は返した。


同い年くらいの女性かと思っていたが、どうやらもっと若いらしく、同じブハラ駅まで恋人に会いにいくのだという。二泊三日程度のスーツケースが足元に置いてあった。


「たぶん、バスは駅前に来ると思うけど、良ければ案内するわ」



とのことなので、ありがたくお願いすることにした。


ポケトーク越しなので大した会話はしなかったが、私が乗ったのがサマルカンド、その時点で彼女はすでに席にいたのでもっと遠い都市から乗っていたことになる。


最低でも5時間はかかる。恋人に会いにいくにしてもすごい時間と距離だ。
私はとにかく味方ができたので、おそらくなんとかなるだろう、という気持ちになることができた。
ぼんやり車窓の荒野を眺めていると、視線を感じる。
さきほどから5歳くらいの男の子が暇を持て余して車両内を行ったり来たりして走っていた。
その男の子がどうやら私を異国人だと気付いたのか、チラチラ見てくるのだ。


私はカメラを取り出して彼を1枚撮って笑顔を向けると彼の中の照れが取り払われたらしく私のほうへ寄ってきた。  







言葉は分からないが遊んでほしいことがそのしぐさから伝わってきたので、私が抱き抱えたりくすぐったりしてあげると思いのほか大きな声でキャーキャー笑い出してしまった。


ウズベキスタンでも電車内はマナーが保たれていたため、私はすぐにシー!っとジェスチャーをして彼をなだめた。しかしそれでも私に心を許した男の子は膝の上に乗り出した。隣の女性がウズベク語か何かで「騒いじゃダメ」と笑顔で促し、少年はそれを受け入れる。



少年はまた車両前方へ行き、そこにいるであろう親と話しては、また私たちのほうへ来ては遊び、そんなことをしているうちにブハラに到着することになる。






おかやんの「とりあえず何でもひとりでやってみる」ブログ。

やりたい事は悩みながらなんでもやってみる。結果的に楽しんでる!また、何かに特化して書いているわけではありません。 書きたいことをごった混ぜにしてネタをブチ混んで書いていますhttps://www.instagram.com/the_unending_world/?hl=ja

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