ウズベキスタンの旅⑬ ゲストハウス到着

 サマルカンドでは「アミール ホステル」というゲストハウスを二泊取っていた。宿を変えると荷物の移動が大変だったり、土地勘が定着しないから。


 入り口のカーテンが閉まり、電気も消えてはいるが、ドアのカギは開いていた。
 ガチャリと開けて中に入る。


 小さな受付があり、さらにその奥からは光が漏れていたので誰かはいるようだ。


 ウズベク語の「こんばんは」が分からなかったため、Helloと控えめに呼ぶと
何やら女性の返事が聞こえ、しばらくすると中年の、しかしおばさんと呼ぶには悪い綺麗な


方が出てきた。


「遅かったわね。心配していたのよ。」


とても流暢なアメリカ英語で驚いた。


「遅くなりました。電車が8時半頃に駅に着いて、そこからタクシーで来ました。」


「無事で良かったわ。さっそくチェックインの手続きするわね」


 私はパスポートを手渡した。ウズベキスタンでは、外国人は宿泊先にて滞在証をもらう必要があり、宿にもその日の客の登録が義務付けられている。
簡易地図をくれ、ここが〜で、ここが〜よ、と教えてくれた。ついでにどこか開いている売店はないかと聞き、少し先の大きな交差点にあると教えてくれた。なにせ、タクシーでここまで来るのに分かったが時間も遅く、年末ということもあり、どこもシャッターなのだ。


「支払いはスムでいいかしら」


実は、私は宿代を支払えるほどの現地通貨をその時持っておらず、日本円、もしくはアメリカドルを換金しなけらばならなかった。


「アメリカドルでは支払えませんか?」


 聞いてはみるがウズベキスタンでアメリカドルで支払いを受け取ることは禁止されているらしいとは本で読んでいた。


「うーん、夫に聞いてみるわ。今夜、公園でイベントがあって娘と今でかけているの。」


帰ってきてから聞いてみるから、先に部屋を案内するわ。」


受付の脇のドアを入っていくと、一般の家庭のキッチンがある。
「こっちに庭があるの」


キッチンの脇のドアを開けて見せてもらうと、洗濯物干しや物置が暗がりに見えた。


「部屋は2階ね」


上がっていくと、左手にシャワー室、短い廊下にドミトリー(6人相部屋)とさらに廊下の奥に個室があった。


「ここね。カギはこれ。じゃあ、夫が帰ってきたらまた呼ぶわね」

部屋は大通りに面した、建物2階の、壁一面窓の部屋だった。カーテンを開けると部屋が丸見えになる。



私はカギを受け取り、簡単に荷物の整理を済ませると、教えられた売店に向かうことにした。今夜もそうだが、移動続きで日本を経って以来、まともな食事を摂っていない。とにかく、菓子パンでもチョコでもなんでもいいから食べておきたい。


私は日本でも海外でも「食」にあまり興味がないせいで、「食」は優先順位の最下層にある。


最低限、動ける必要カロリーを摂れればいい、という考えがある。
登山でもトレイルランニングでも、「行動食」のみ。高カロリーのチョコバーや栄養ゼリーだったり、塩分が取れて満腹感のある柿ピーがあれば十分動ける。
海外でも、食事をしている時間がもったいない。その分、動いて色々観て回りたいのだ。


人気はまったくないが、街灯でずいぶん明るい大通りを歩いていく。

おそらく普段の週末などはそれなりに賑わう通りなのだろう、様々な種類の店が並んでいた。


遺跡が立ち並ぶ「旧市街」がある一方、このあたりは「新市街」と呼ばれシルクロード時代とは別の近代的な建物で、区画整理がされている。


しばらく歩くと、来る時にタクシーがUターンした十字路までやってきた。
角におもちゃ屋があり、夜9時近い時間に賑わっている。年末にプレゼントする文化でもあるのだろうか。


おもちゃ屋を曲がるとすぐに小さな売店があった。さながら駅ホームのキオスクといったこじんまりした広さ。
日本のコンビニのようにお弁当などは売っていないので、菓子パンか長期保存できる物しか売っていない。


とりあえず、今夜の腹ごしらえと明日の朝食にと、いくつかのクロワッサンが入った袋パンとチョコの袋、それにコーラとエナジードリンク的な缶を買った。


宿に戻り、ちょうど宿前にベンチと灰皿が置いてあるので、一息することにした。


タバコを吸っていると、宿の隣の建物前に車が着き、数人の女性が入っていった。また次に他の車が来て、これまた数人の女性が中に入っていく。中は煌々と明かりが着いていた。


地図を見ると、どうやらイベント場らしい。ダンス用に見える華やかなな衣装を着ていたの何かあるのかもしれなかった。


そういえば、宿のご主人と娘さんが公園のイベントに行っていると聞いたが、私はもう疲れていてこの時間から行ってみようとは思えなかった。
宿に入ると、奥さんが伝えてきた。


「夫に電話で確認したわ。もし、ドルで払うなら一度エクスペディアの今夜の予約をキャンセルしてもらって、直接のやりとりならドルでも受け取れるわ。少し安くもできるし」


どうやら旅行サイトを入れなければこっそりドル払いで良いらしい。



夫がいないため支払いは後で良いとのことなので、奥さん立ち会いの元、エクスペディアをキャンセルし「口頭予約」という形にしてもらった。


ドル払いにせよ、スム払いにせよ、私はとにかく今後のために現地通貨のスムを手に入れなくてはならない。
しかし、首都タシケントではなぜか空港以外で「両替所」を見かけなかった。


最悪、銀行へ行けば替えられるなどとたかをくくっていたが、奥さんが言うには、いや、そんなことは当たり前だが、「年末だからたぶん銀行窓口は昨日までじゃないかな。」と言う。



このあたりは新市街で高級ホテルも多い。そのためそのホテルのフロントに行けば日本円でも替えてくれるという情報はあった。明日、観光へ行く前にまずは換金せなばならない。


部屋に戻って、チョコやパンをかじりながら「地球の歩き方」を眺めながら再び計画を再考しする。


その① この宿は一般的な「ゲストハウス」ではなくいわゆる家庭の空き部屋を貸す「民泊」に近いようだ。個室は私が泊まっている部屋が一つ。あとはドミトリーが一つ。昨夜のように他の客と交流もできそうにない。明日の大晦日をひとりで過ごすのはせっかくの旅がさすがにさみしい。それらは私にとっては退屈であった。



その② 地図をよく観ていると、ここ新市街という立地はよいが、明日、旧市街へ観光へ行くとまた夜にこっちに戻ってこなくてはならない。それは移動の時間が無駄な気がする。



その③ 本来ならエクスペディアからの予約で2連泊だった。それを今はキャンセルして「口頭予約」の形になっている。しかも支払いはまだだ。つまり、2連泊をやめて、今夜のみの1泊にし、明日は旧市街のゲストハウスに移るという手がある。

そこまで考えると、私は急いでエクスペディアを開き、明日泊まれるゲストハウスを探した。


あった。まだコロナの影響のため、宿はどこもガラガラだ。
地球の歩き方」にも掲載されているゲストハウス。遺跡近くのゲストハウス通りにあり、立地は良い。


そのまま予約した。


よし。まずは明日、どこかで換金をし、1泊だけにすることを伝えて支払いをして旧市街へ移ろう。


そこまで決めたところで私はシャワーを浴び、寝ることにした。
大通りに面した部屋は常に明るかったが疲れもあって私はすぐに眠ることができた。



おかやんの「とりあえず何でもひとりでやってみる」ブログ。

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