ベトナム中部のリゾート地、ダナン、ホリデイビーチホテルにて。
おそらくマネージャーだと思われる女性のローンさん。どんどんスタッフに指示を出し、日本のホテルでもばりばり働けそうなしっかりとした女性。英語を流暢に話し、会えば笑顔をくれる。滞在中は何から何までお世話になった。
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到着日の夜、ホテルの庭にあるプールでくつろいで高い宿泊代の元をとってやろうと夕飯のあとに行ってみるとホテルと周辺のネオンに照らされたプールの端で日本人の男性が本を読んでいた。
情報交換をする。
目の前のビーチは昼間は暑くて歩けないらしい。。。しかも波も高い。なので朝と夕方だけ混むことが判明。それはそれでビーチリゾート。
近年、開発が進んできたとのことで、周辺は空き地だらけ、夜はそのへんで屋台も出ている。建設中のホテルがあちかこちらにあって、昼間は暑い中、重機など使わず手作業で工事していた。
市街地の市場。
ベトナムの中部都市、ダナンにも市民が集う市場があって、その日も大勢の人でごった返していた。とにかく暑い。
けたたましくクラクションを鳴らしながら次から次へとバイクが走ってくる。その排気ガスがベトナムの湿気と気温、さらには路上のゴミやほこりと混ざり合い、特有の臭いを作り出す。
市場ではそんなのおかまいなしに、どでかい生肉がドスッ、ドスッと包丁でぶった切られ、吊るされ、なんとも言えない生臭さを放っていた。
と思えば、すぐ近くではおいしそうな果物も売られ、あるいは服も売られ、アオザイなども飾ってある。売っているおばちゃんたちは売るのもそっちのけでどんぶりを持ち、お茶漬けのような朝ご飯を食っていた。
なんだか上野のアメ横に似ている、と思った。少しその雰囲気が。特に年末のアメ横。あの人ごみの雑踏にうだる暑さを足したらこうなった的な感じ。。。
オレはオレで興味深げにそれらを見つめるのだけど、おばちゃんたちはおばちゃんたちで少し違う顔のアジア人を見つめてくる。日本だったら会釈も通じるかもしれないが、ここではあまり良い反応はない。
ダナン大聖堂。
キリスト教の教会が観光地になっている。敷地内はどうやら思った以上に広く、学校のようになっていた。
その建物から歌声が聞こえるので賛美歌の練習でもしているのかと思い、奥へ行ってみる。体育館のような建物の入り口で、シスターであろう年配の女性がいたので見学は可能か話しかけてみると、英語で返ってきた。
今は見学はできないこと、キリスト教徒でないと入れないことなどを聞いた。
サンキューと告げて敷地内を後にする。あとで分かったことだけど、やはりキリスト教徒の学校で色々な行事も行っているとのこと。
大手旅行代理店エイチアイエスのダナン支店。
ダナン市街に大手旅行代理店のHISダナン支店があった。情報収集のためにも立ち寄って、その結果タダでミネラルウォーターをもらうという図々しさを発揮。少し小太りの物腰の柔らかい男性スタッフ一人で切り盛りしているらしい。
ここに異動してきて1年ちょいが経ったがもう日本に帰りたいと言っていた。笑
宿泊しているホテル名を告げると、そのすぐ近くに日本人が経営するおいしいハンバーガー屋があるとのことで後で行ってみることにした。
ホテルの無料送迎バスで世界遺産の街ホイアンへ。
アジア貿易の歴史的背景と美しい景観が評価を得て、世界遺産となった街。
花とランタンと昔ながらの街並がキレイなので、ここを訪れる人は多い。
宿泊しているホリデイビーチホテルから無料の送迎バスがホイアンまで出ているので利用する。高級ホテル通りを走り、民家通りを通り、約30分ほで到着。
ダナン、ホイアンは日曜日の番組「旅サラダ」でも綺麗な旅サラダガールズのお姉さんが旅をしていたので、ぜひ行ってみたいと思っていた。
ホイアンでは見学施設に入るための6枚つづりのチケットが売っている。
一箇所一枚。
だけどどうやらそのチケットを買わないと「街自体に入れない」ことになったようで、確かに「地球の歩き方」にも新情報として書いてあったのだけど、読んでいなかったオレはチケットセンター前を通る時、おばちゃんに呼び止められた。
「ちょっとアンタ、チケットは??」
「あとで買うからいいよ」
「ダメだよ。こっから先はチケットが必要なんだよ」
「建物の見学はしないからチケットはいらないよ」
「ここからはチケットが必要なんだよ!」
「だから見学したいところがあったらあとで買うよ!」
「ノー! 買わないとここからは入れないんだよ!」
「だから、いらねえっつってんだろ〜が」
「ノー!! 買わないと入れないよ!!」
チケット売り場前でおばちゃんとつたない英語で大声でケンカをしているその横を、欧米人がチケットを買わずスーッ入っていくではないか。しかも誰も注意しない。 オレは彼らを指差して言った。
「あいつら入ってんじゃねーか!」
日本でもそうだけど、欧米人はひいきされる。
日本人だって、同じ日本人に対してより外国人に対してのほうが優しい。
それは何故か、の議論は後回しにして、アジアでは欧米人ひいきがある。特に最近の日本、自分の国なのに彼らのやりたい放題になっている。
結果、言い合いをしてもストレスがたまるだけだと早々と判断し、どうせあとで買うつもりだったのでチケットを購入。
知り合った日本人観光客に聞くと、
「去年はチケットなくても入れた。今日も無理矢理入ったよ」
と言っていた。
ホイアンの街中へと入る。
街中にはミュージアムや歴史的価値のある民家が観光客向けに敷地内を解放していて、6枚つづりの内の1枚を使うことで、自分の入りたい場所6ヶ所を選び見学することができる。人気のある民家などは観光客でごった返す。
結果、チケット買っておいてよかった。
ごめん、おばちゃん。
京都の祇園のように、歩いているだけでも十分楽しい。ただ、世界遺産の街とはいえ、通りの建物はすべてお土産屋さん。これではただの、古民家風ショッピングモールだ。同じように感じる人も少なくはないと思う。
日本が江戸時代の頃、日本人が建てたという「日本橋」。
だとしてもお土産文化で育った日本人なので、何か適当なお土産はないかとあちこち歩いて回りつつ、観光もする。中国人の団体ツアー客が来ると、とたんに騒がしくなり、彼らはどこにいても本当にうるさい。
日が暮れてくると、売り物として、あるいは街中の飾りとして吊るされているランタンに明かりが灯り、街並をいっそう美しく浮かびあがらせる。
また、日本の灯籠流しに似た、ろうそく流しもあり、100円くらいで買ってホイアンの街を分断するように流れている川に流すことができる。
その灯籠を現地の小さな女の子が観光客をつかまえては本当に必死になって売っている姿が愛おしい。買うと、そのお母さんかおばあちゃんが火を灯してくれ、女の子が長い竿で川へと流す。
幼いながらに一生懸命働くその姿に、自分の母親の幼い頃を重ねてしまう。
オレの母親は戦後の混乱期を田舎で貧乏な大家族で生き抜いてきた。
年の離れたお姉さんとお兄さんが、大黒柱となって働き、母親も鉄くずを集めては売っていた。時には夜中に畑へ行って野菜を盗んできた。見つかって殴られたとも言っていた。
こどもが働く姿というのは、今の日本にはない。昔だったら、どらえもんのジャイアンのように八百屋の店番程度はあったかもしれない。日本が発展した証なのか、単に少子化なのか、店番するような個人店がなくなったからなのか。
気付くと、ホテル行きの帰りのバスの時間が迫っていたので急ぐ。
駐車場から振り返ってみるホイアンの街は、ランタンのオレンジ色の明かりがゆらゆらと揺れて建物を照らし、川の中にももう一つの街が見えた。
そこを人々の黒影が行き交い、CGで作られた別世界のようでとても幻想的だった。それはまるで日本の田舎の懐かしいお祭り風景のようだった。
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