2018.05.12 15:24パリ組曲⑯ お互いの家族朝。そこはミヒャンのホテルの部屋だった。ドライヤーの轟音が耳に障り、目が覚める。ああ、ミヒャンが使っているのだな、と彼はぼんやりと思った。外はすでに明るいようだった。ということはもう9時近くなのか。 シャワーでも浴びたのか、彼女はどうやら洗面所にいるようだった。谷川が目覚めてベッドで横たわっている間もしばらくドライヤーの音は途切れなかった。 自分の口唇を触ってみる。まだミヒャンの感触を覚えていた。昨夜の、舌先に残る柔らかい感覚がまだ谷川の下腹部を刺激しようとしていた。 起き上がり、洗面所を見ると、Tシャツにジーンズ姿のミヒャンが髪を乾かしている。谷川に気付いた彼女は鏡越しに微笑みを見せた。 「オハヨウゴザイマス。」 「おはよ...