クソ野郎のジャワ島横断記⑯ 再びジャカルタへ。



一時間ほど鉄道に揺られ、ソロ駅から再びジョグジャカルタへと戻ってきた。  



昼12時。


首都ジャカルタへ戻る飛行機は夕方5時。それまで少し遺跡巡りをする。


最初は、以前も行ったことのある世界遺産プランバナン遺跡に行こうかと考えてはいたが、結局やめることにした。数日前にボルブドゥール遺跡に再訪した時、遺跡を実際に目にすることへの感動は初めて目にする時と比べ、やはり薄れていることに気付いた。それならば高い入場料を払ってまた行く必要はない。むしろ入場料の安い、小さいがまだ行ったことのない、周辺の遺跡群へ足を運んだ方が時間の効率がいい。  


まずは到着したジョグジャカルタ駅からバスに乗り換える。日本と違い、バス停が駅と連結していないためしばらく強い日差しの元で歩かなければならない。  全ての荷物をバックパックで抱えて、地図を見ながら歩く異国の15分は遠いのなんの。そのバス停からまずはプランバナン遺跡前まで乗車。降りて、今度はバイクタクシーと交渉して、行きたい二つの遺跡まで連れ行ってもらう。   


サリ寺院。        









プラオサン寺院。  



バイクタクシーが、大きく成長し始めた田んぼの道を爽快に飛ばしていく。  


その風景の中に聳える巨大な建造物が目に入った。  


「地球の歩き方」に乗っていた写真の崩壊具合を見て、訪れてみたいと思っていた。入り口で僅かな入場料を払って改めて視線を向けると、石で積まれた大きな寺院がいくつか並んでいるのが見える。  


奥に進むと、ただの石積みのようにも見える瓦礫の山も、建造物が崩壊してものだと認識ができた。  


これらが築かれた頃はさぞかし巨大な寺院群だったに違いない。  


これが日本であれば巨額な税金を投入して、観光資源として修復するのだろう。しかも日本のことだ、まるっきり風情のない新築のような修復をしてしまうのだろう。  圧倒される崩壊寺院を一人歩きながら、ふとして思う。  数年前は異国の地を一人で、しかも自力で歩き回るなんて到底できないと思っていた。それが今はバイタクタクシーに乗って、行きたい遺跡に来て、感動をすることができる。  


自身でも驚くほどの行動力を身に着けていた。   


どこにも出かけない家庭で、オレは育った。  


家族で旅行をした最後の記憶は、オレが小学校低学年の頃の、しかも自宅から車で一時間でほどで到着できてしまう湖だった。県営の宿泊施設に一泊した。  友人の家庭がよく行くような海も、山も、スキーも、映画もディズニーランドも家族と行った記憶はない。  


子供の頃、自分の生活する範囲の、その外の世界を知る機会はほとんどなかった。学校行事で行く旅行が楽しくて仕方なかった。それは単に、授業がない嬉しさや友達と一緒に遊べるというような気持ちだけではなかった。その根底に揺らいでいたのは、外の世界を知ることができるという知識欲であったように思う。色んなことを知りたかったんだと思う。興味がある物事の、そのぽっかりと空いた知識欲を隙間のままにしておきたくなかった。  



実際に体験できなかった分、たくさん本を読んだのだと思う。写真やイラスト、あるいは活字からたくさん想像した。本を読んでは空想し、頭の中で構築し、創ったその世界に没頭した。  



今は、外の世界を実際に知るために自ら出かけていくことができる。  

夕方、ジョグジャカルタ空港から、再び首都ジャカルタへ戻った。帰国を明後日に控え、明日一日を使って首都を歩いて回る予定だ。 






初日の到着日と同じように空港バスに乗り込み、市街地へと向かう。一度乗ってしまえば二度目はもう慣れたもんだ。コタ駅にてバスを下車。  


今日の宿は「テドゥーホステル」。Booking.comの写真では明るく、清潔さも感じられる。ただ、今までは他人の物音やイビキを嫌って個室を取ってきたが、今回は個室が取れず仕方なく同じ部屋に数人で泊まるドミトリーだ。  


グーグル・マップ通りに路地に入り、薄暗い通りを行くと、ホステルの矢印が出ている。 目の前まで来たが、ガラスに紙が貼られ、中がまったく見えない。緊張しながらもドアを開けると、蛍光灯の明かりが強くオレを照らしてきた。単に場所が裏路地にあるというだけで、ホステル内は満足できそうな綺麗さだった。



 さっそくチェックインの手続きをしていると、カウンターの隣りに座るアジア人男性が他のスタッフと何やら話している。日本人に見えたがちがうようだ。なにやらスタッフにインドネシア語を教わっている。  


オレのチェックインが終わると彼は、 


「ジャパニーズ?」  


と話しかけてきた。その笑顔や彼の雰囲気からして仲良くなれそうだというのはすぐに察した。  

そうだった。オレはどこへ行ってもそういった出会いを引き寄せる何かを持っている。


おかやんの「とりあえず何でもひとりでやってみる」ブログ。

やりたい事は悩みながらなんでもやってみる。結果的に楽しんでる!また、何かに特化して書いているわけではありません。 書きたいことをごった混ぜにしてネタをブチ混んで書いていますhttps://www.instagram.com/the_unending_world/?hl=ja

0コメント

  • 1000 / 1000