清水さんを見送った後、私はブハラの観光街から離れた庶民のバザールを観に行ってみた。
「デフコン・バザール」
バザールの周辺には自転車の後ろにバーベキュー台を積んだような簡易な露店があって、焼き鳥のような肉を焼いて売っている。その匂いがたまらなく良い香りをどこまでも放っている。服、下着、靴、台所用品、肉、野菜、穀物、日用雑貨、おもちゃ、ホームセンターに置いてあるような工具、部品。
日本では「初売り」だが、こちらでは年が明けたからといってこういったバザールが大混雑することはないようだ。そういう文化の違いも興味深い。
あまりにもバザールは広大なので、地図を見ながら直線的に歩いて反対側へと抜ける。
これまた広大な公園へと出る。冬のため緑はない。そしてまったくひと気もない。
空は灰色。気温もかなり冷え込んでいる。
ぼんやりとしながら公園を歩いていると、ポツポツと小雨が降り出してしまった。
日本から折り畳み傘はもってきてはいるが、なにより気分が落ちてきてしまう。
とにかく、一度観光通りへ、アルク城へと戻ってみることにした。
アルク城前のバス停が小さな屋根で覆われているため、ひとまずそこに座って雨宿り。
さて、どうするか。
あるにはあった。
なにより、タクシーを呼んでも50円ほどしか変わらず、しかも宮殿眼の前まで行ってくれる。
ほどなくやってきたのは廃車にしたスズキアルトのようなボロボロのミニカー。
少し観光通りを離れるだけで視界に映る町は一気に庶民的に変化していった。
無事に着き、テンションが上ってしまい、うっかり一眼レフカメラをリュックから出してしまい、受付にてそのカメラを見られて「カメラ料金」を取られてしまう。
これが入場料とほぼ同じ額で、バス代の10倍くらいの金額。
月と星の宮殿という意味の、東西の建築様式が混在しているのが特徴の夏用の宮殿とのこと。
夏用の宮殿ということは、別荘のようなものだったのだろうか。
新緑の季節であれば、たいそう美しい庭園を味わうことができただろう。
さて、街へ戻るか。
バスはおそらく大通りへ行けば走っているはずなので、そこまで200mほど歩く。
相変わらず空は灰色だったが、雨はやんでいた。
それでも歩けるスペースがあるのはありがたかった。
旅、という響きに私という存在すべてが没入していた。
アリア=ハン王、肖像
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