2025.04.18 15:20新世界紀行 エジプトの旅30 カルナック神殿極限の疲労の中、僅か5時間ほどしか寝ていないのに、体は軽い。8時頃に朝食会場へ行くと、まるで約束でもしていたかのように日本人の宿泊者たちが集まり始めた。皆、昨日はどうだった、今日は何をする、など雑談と情報交換をする。昨夜、年越しを待たずに寝てしまった人もいて、よくあの爆音パーティの音で寝れたなあと感心する。一期一会。皆、また、それぞれの旅へと向かっていく。ルクソール。ビーナスホテル。たった2泊とはいえ、ぼくにとっては永遠とも思えるような濃密な時間だった。色々あったがオーナーのハッサンにはよくしてもらい、感謝をしている。9時過ぎ。ひとり、静かにリュックを背負い、ぼくは宿を出た。カルナック神殿までの道のりは、どこか夢の続きのようだった。通りにはまだ観光客の...
2025.04.12 04:10新世界紀行 エジプトの旅29 ダンスパーティナイルの風は、夜になってもまだ熱を帯びていて、どこか砂の匂いがした。ソアとミリーの泊まるホテルへ、ぼくは立ち寄った。宿へ向かう途中だった。彼女たちのホテルは、どう見ても一流。エントランスのドアを抜けると、目の前に広がったのは、まるで夢の中のような空間だった。高い天井からは巨大なシャンデリアがぶら下がり、光がゆっくりと回っている。 その光が、ふたりの頬を淡く照らしていた。女子二人旅――とはいえ、彼女たちは明らかに、ぼくとは違う世界を歩いている。 ぼくは汗まみれのバックパッカーで、彼女たちは、軽やかな旅人だった。 ぼくの宿は、ほとんどゲストハウス。 人によっては「ほとんど雑居ビル」と言うかもしれない。 実際には、古びた雑居ビルの一角を...
2025.04.04 14:54新世界紀行 エジプトの旅28 過去&年越しルクソールの夜が、ゆっくりと深くなっていく。「マクドナルド ルクソール神殿前店」とでも呼ぼうか。ぼくらは、人の波にのみ込まれる前にマックの中へと逃げ込んだ。 通りの喧騒とは違い、驚くほど店内は空いていて、穏やかな時間が流れていた。世界中、ほとんどどこの国でもあるマクドナルド。 この国でも、店内の雰囲気は世界共通だった。 まるで「どこでもドア」でひと時だけ日本に戻ってきたかのような、奇妙な安堵。 何でもいい、ただお腹を満たしたい——そんな時、異国のマックは本当に頼りになる。 ぼくだけががっつり食べるのだろうと勝手に思っていたが、ソアとミリーも同じようにセットメニューを頼み、夢中で食べていた。 彼女たちは変わ...