2018.10.08 08:31パリ組曲㉕ 「また、会えますか?」「部屋のカギがありません。カードキーです。」 ミヒャンの空港送迎車が、朝9時に来ることになっていた。そのため、8時にはミヒャンのホテルへ行き、チェックアウトを済ませ、朝食を摂ってのんびりしよう、そう話していた矢先だった。彼女は二日目の夜から谷川のホテルで寝ていたため、そのカードキーを使ったのは初日だけ。どこへしまったのか忘れてしまっていた。 「バッグの中に入れたと思っていました。でもありません。」 「もしかしたら、どこかで、落としたかな。」 ミヒャンはベッドの上に荷物をひっくり返して探す。結局カードが入っていたのは財布の中。 「バッグじゃなくて、お財布の中でした。」 谷川は、ふう、と安堵のため息を吐き出しつつ、そんな...